ホテル・ルワンダ
映画「ホテル・ルワンダ」を観てきた。正直、公開前はあまりチェックしていなかったのだけれど、先日のゴールデン・グローブ賞授賞式の中の紹介と主役のDon Cheadleが印象的だったので是非見に行きたくなり、この週末に見たというわけ。史実を語る映画として、そこで格闘していた人々の姿を伝える物語として、皆に観てもらいたいと思える映画だった。(もっとも日本公開予定はまだ未定のようですが・・・)
ストーリーは1994年の「ルワンダの大虐殺」中に起きた実話をベースに作られている。当時内戦状態からかろうじて和平合意にいたっていたアフリカの小国ルワンダで、当時の大統領が飛行機撃墜事故で死亡したことをきっかけに、暫定政府の呼びかけに応じる形で、多数派のフツ族による少数派のツチ族に対する虐殺が始まった。およそ100日間という短い間にルワンダ国民の1割にもあたる80万人以上が殺されている。ほんの10年前の出来事である。しかし国連や国際社会の対応は鈍く、虐殺進行当時は、ニュースで「虐殺」という言葉が使われることすらほとんどなかった。(歴史についてもうちょっと知りたい方はこちらやこちらなど)
この映画は、その当時、ツチ族、フツ族を問わず1200人ほどの人々をかくまったホテルの支配人の実話に基づいた話。
このように簡単に紹介すると、まるで悲劇の時代に生きた高潔なヒーローの話のようであるが、実際の映画の見せ方は必ずしもそうではない。主役の彼は虐殺が始まる前には、欧米からの観光客を相手にしたホテルで金持ちに媚を売って稼ぐ普通のホテルマンである。本人はフツ族であるが妻が迫害対象であるツチ族であったこと。ホテルが内戦停止後の国連の平和監視団の滞在場所であったことといった周りの環境から、いやおう無しにこうした史実に巻き込まれてしまったという方が正しい。国連軍も一度は引き上げていく中で、ホテルは自分たちで身を守り、かつ食事など生活を確保しなければならない。彼はコネ、賄賂、使えるものは何でも使い生き延び、ホテルを守ろうとしていく。その困難な時代をただ生き延びようとする人々の強い力にはただただ圧倒される。
この支配人によって命を救われた1000余人がいる。それは美談でもある。だが、そのすぐそばでただ殺された人たちはもっといる。そこにはやりきれなさや無力感も同時にただよう。しかし、この映画ではそのことも直視している。なぜなら、これはフィクションではなく事実であるからである。虐殺の陰惨な映像も含まれるが、我々はこれから目をそむけてはいけないと思うし、忘れてはいけないと思う。
日本でも是非公開を期待したい。
# 今朝の体重70.4kg
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