Enjoy Every Sandwich: The Songs of Warren Zevon
/ Various Artists
好盤である。
いわゆるトリビュート盤という形で多くのアーティストが特定のアーティストのカバーをしたものを一枚のアルバムにまとめるというスタイルは最近すっかり企画化してしまい、必ずしも出来が良くないものも多いのだが、これは力の入ったアルバムでかつトリビュートされたアーティストを再評価するという意味でも久々に好作品といっていい。Warren Zevonという人はアメリカのシンガーソングライターなのだが、正直私自身このアルバムに出会うまで意識して聞いたことはなかった。活動暦は長く、60年代にはEverly BrothersやLinda Ronstadtに曲を提供している。自身のオリジナルアルバムも70年代から2000年代にかけて発表しているが、他のアーティストや批評家筋の評判は高いものの、期待されたほどのヒットはしていなかったようだ。最近ではBruce SpringsteenやREMとの共同活動もしていた。しかしアル中でも有名で、残念ながら2003年に癌で他界してしまった。
アルバムが低調な割には、彼はアメリカではそれなりの知名度があるようだ。というのも、アメリカの人気TVトークショー「Late Show with David Letterman」でバンマスとしてしばしば登場していたからだ。このアルバム中(5)でBruce Springsteenが彼を「友人で偉大なアメリカのソングライター」と紹介しているのだが、聴衆の大きな反響が彼の偉大さを表しているともいえる。
ネタ元のアーティストの話ばかりになってしまったが、このアルバムはWarrenの曲を比較的忠実に再現したものが多く、彼の良さを再認識するうえでも良いだろう。Warrenと生前親交のあったアーティストを中心に非常に豪華な顔ぶれも集まっている(これでLinda RonstadtとNeil Youngが入ってればほぼ完璧なのだが)。私はこのアルバムを聴いたあと、彼のベスト盤「Genius:The Best of Warren Zevon」も買ってしまったのだが、合わせて最近の愛聴盤である。アメリカのフォーク・シンガーというよりアイリッシュ・トラッド・フォークに近い雰囲気の良曲も多く、Poguesあたりも彷彿とさせる感じだ。なんでもっと早くちゃんと聴いておかないかなと少々後悔。
本アルバムでもお勧めは(1),(4),(5),(6),(7),(10),(12)あたり(ってかやっぱり全部だな)
(1) Searching for a Heart / Don Henley
(2) Werewolves of London / Adam Sandler
(3) Reconsider Me / Steve Earle And Reckless Kelly
(4) Poor Poor Pitiful Me / Jackson Browne Featuring Bonnie Raitt
(5) My Ride's Here / Bruce Springsteen
(6) Lawyers, Guns and Money / The Wallflowers
(7) Studebaker / Jordan Zevon
(8) The Wind / Billy Bob Thornton
(9) Splendid Isolation / Pete Yorn
(10) Mutineer / Bob Dylan
(11) Monkey Wash, Donkey Rinse / David Lindley And Ry Cooder
(12) Don't Let Us Get Sick / Jill Sobule
(13) Ain't That Pretty at All / Pixies
(14) Keep Me in Your Heart / Jorge Calderon And Jennifer Warnes
(15) Secret Track
(各曲のタイトルをクリックするとWalmart - Music Downloadが提供する30秒試聴のリンクに飛びます。試聴にはWindow Media Playerなどwmaファイル再生用のプレーヤーがインストールされている必要があります)
<オリジナル 2004年>
このアルバムが気に入った人には
・Genius:The Best of Warren Zevon / Warren Zevon
・If I Should Fall From Grace With God / The Pogues
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